子どもといじめ 1
大学生 男
中学校で印象に残っているのは、運動会のリレーの練習をしていたときのことです。 一人の男子生徒がバトンパスもうまくできず、走るのも速くないため、毎回追い抜かれます。
はじめのうちは誰もその子に対して不平を言ったりはしなかったのですが、何回も続くうちに、その子に対して不平を言う子がでてきました。
するとその文句を言われた子は、自分の出来なさに、学校外へ逃走していきました。
普段は速くないのですが、逃げる速度は速く、なかなか追いつきません。
追いついて止めると、近くにあった鉄塔に頭をぶつけはじめました。
「僕なんか…」と言って、鉄塔に頭をぶつけるのです。
そこへ、教育実習生と担任の先生がやってきました。
教育実習生は「やめてやめて」としか言いようがなく、どうすることもできませんでした。
先生はその子を正気に戻すために、一度怒鳴りました。
するとその子は正気を取り戻し、頭をぶつけるのをやめ、泣き崩れました。
その後、先生はその子にやさしく声をかけ、理由を聞き、ずっとそばに付き添っていました。
僕もその場に教育実習生としていたら、気が動転して何もできなかったかもしれません。
その後、その子はしばらく保健室で休んでいました。
その休んでいる間に、先生が教室に来て、その子が悩んでいたこと、クラスのみんなが悪かったことを話し、みんなに自分達がどういう行動をすべきかを考えさせました。
あのとき僕は、間近で人が頭を鉄塔にぶつけ、泣き崩れるところを見ていたため、人は表情に出なくても悩みを持っていて、それがたまりにたまると、自分でも自分をコントロ-ルすることができなくなるとわかり、表情だけでは判断せず、普段の行動もしっかり見て、人に話しかけたりしないといけないなと思いました。