小学校で印象に残っている先生 36
大学生 男
三年生のときの担任だった先生は毎朝本を読んでくれました。
机と椅子を全部後ろにさげて先生は黒板の前の椅子に座り、子どもたちはそれを囲むようにして地べたに座って聞いていました。
その当時は当たり前のように先生にこれでもかというくらい近付いて熱心に聞いていました。
今思うと子どもたちに豊かな感情を育んでもらうために読んで聞かせていたのかと勝手に思っています。
あとこれは先生が話してくれたおもしろい話なのですが、ある先生が簡単な宿題を出し、次の日ある生徒に「わかるか?」と質問すると「わかりません」と答えたので「忘れたのか?」と訊くと「忘れてません」と答えます。
不思議に思った先生が「忘れてないのに何でわからんのや?」と訊くと「覚えてないからです」と答えたそうです。
今聞くと何やそんなことかで済んでしまうのですが、小学生だった私はすごく感心し、なるほどと思いました。
「忘れる」という言葉は「覚える」という言葉の上に成り立つんだと知り、その日下校して早速お母さんにこの話をしたのを今でも覚えています。