子どもと恋 52
大学生 男
僕は恋愛が下手であったし、現在も下手である。
そんな僕が初めて人を好きになったのは小学校一年生の冬であった。
僕は小さい頃の記憶があまりない。
しかしなんとか思い出してみる。
あれはマラソン大会、僕はとにかく足が遅く、最下位を独走した。
なぜかプライドが高かった僕はひどく落ち込んだ。
そんな僕を励ましてくれた女の子がいた。
すぐに好きになった。
それから僕達は「両思い」とクラス中で言われた。
幼い頃、女の子を好きになることは情けないことのように考えられていた。
僕はある日、大きな声で「○○なんて好きじゃない」と言った。
それを聞いていたその子は泣いた。
思い起こすたび胸が苦しくなる。
大学に入り、最初に好きになった女性は初恋の子と同じ名前だった。
次は大切にしようと考えた。
僕は成長していなかった。