子どもと恋 88
大学生 女
私は中学生に上がるまで一人の男の子しか好きになったことがありませんでした。
正確に言うと三歳のときにその人を好きになって、小学校五年生で私が転校して別れてしまったんです。
三歳で好きになった瞬間を覚えています。
ある日、保育所に隣接している城跡にいつものようにクラスのみんなで散歩に行きました。
町民は「城山」と愛称している通り小さい山のようで、その日もみんなで一斉に斜面(なかなか急です)をよじ上りました。
そして下りるとき、みんなはソロソロ早いこと下りて違う遊びにすでに切り替えてたんですが、私一人遅くてあせったら靴が脱げてしまいました。
そしたら例の男の子がそれを拾って、私の方へ向きをそろえて直してくれたんです。
そのときまで全然知らない子だったのに、いきなり好印象。
その日の給食のとき「一緒に食べよう!」って誘っちゃいました。
実は同じ団地の子でした。
それから幼なじみ期を過ごし、なんとなく好き同士期を過ごしって感じでしたが、私が十一歳で転校してしまいました。
でも今でもメル友だし、年賀状も届くし、たまには会ったりする、不思議な縁のある男の子なのです。