小学校で印象に残っている先生 98
大学生 女
私にとって一番印象に残っている先生は音楽の先生です。
歴史にもとってもくわしくて、私の人生を大きく変えてくれた恩師でもあります。
まっさきに思い出すのは、はじめての授業のことです。
それまでの授業はペーパーテストばかりで、歌うときはのどがつぶれそうなくらいの大声で歌わなければなりませんでした。
そういうものだと思っていたので、きれいにならべられた机に座るだけで逃げ出したくなっていたのを鮮明に覚えています。
ですが五年生の春、音楽室に入ると机がすべてなくなっており、イスだけがならんでいたのです。
そして授業がはじまると、先生は音楽と関係のなさそうな歴史や雑学の話をしはじめたのです。
これには驚き「音楽じゃないの?」と首をかしげ、たずねました。
先生は「聞くことも音楽の一環」とおっしゃって、なんと三十五分を雑談に費やし、残りの十分で奇妙な発声練習をしておわりという信じられない授業になりました。
私は家に帰ると母に「あんなの音楽じゃない!」と不満を叫びました。
その後もこの奇妙な授業は続くのですが、だんだん話がすごく楽しくなってきました。
ことわざの由来とか日清戦争や日露戦争における日本軍の作戦とか、そんな話をたくさん教わり、正しい合唱のしかたやいろんなことを学んでいくうちに私たちのクラスはとっても歌が上手になったのです。
きみがよ反対派の先生から歌詞の意味やくわしい歴史的背景も学び、とても楽しかったです。
校歌の二部合唱。
他の先生は「子どもの歌はキレイじゃなくていいから大声」という考えだったらしく、集会で校長先生に「元気がたりない」と言われ、悲しいこともありました。
でもいつの間にか私は大キライだった音楽の先生が大好きになり、授業がすごく待ち遠しいと思う私がいることに気が付きました。
先生が今どうしているかは知りませんが、私は先生に学んだことをいかしていける人間になりたいです。