子どもと恋 119
大学生 女
忘れもしない幼稚園時代のバレンタイン。
私はマンションの六階に住んでいて、十階のあー君とは幼なじみだった。
親同士も仲が良くて、私たちはよく一緒に遊んだ。
バレンタインはお母さんが買ってくれたチョコを渡していた。
本当は渡したくなかった。
好きな人がいたから。
でも「渡してあげなさい」とお母さんが言うから嫌やなあと思いながらも渡した。
確か五歳のときお母さんは大きめのハート型のチョコを買ってきた。
私はエレベーターに乗ってそれを渡しに行くときハートのチョコが入った箱をわざと何度も落として、そのまま何くわぬ顔で渡した。
薄いチョコだったからたぶん割れていたと思う。
ごめんね、あー君…。