小学校で印象に残っている先生 82
体罰
大学生 男
僕は小学校の頃の記憶があいまいで断片的にしか振り返ることができないが、一年のときの担任の先生に頬をたたかれたことは鮮明に覚えている。
先生は四十歳くらいの女性の先生で、怒るととても恐ろしかったと記憶している。
僕は休み時間に転倒し、顔をひどくすりむいてしまった。
しかし何を思ったのか先生に報告せず、左の頬を血に染めながら次の授業を受けていた。
先生に見つからないように下を向いたまま…。
それを不思議に思った先生が「○○君、どうしたの?」と僕の顔を起こした。
とてもひどい顔をしていたのだろう。
先生はすごく驚いた顔をしたが、次の瞬間、僕の右の頬を本気でビンタした。
「なんでそんなことをだまっちょるの(山口弁)?」。
左の頬の痛みはどこかに消えた。
右の頬のほうが痛かった。
先生が僕のことを心配してくれているのがわかった。
それから一年後、僕のひいおばあちゃんが亡くなった。
僕はことのほか落ち込んだが、そんな僕をギュッと抱きしめてくれたのはやはりその先生だった。
あまりにキツイ抱きしめ方で、息ができなかった。
しかし心の痛みはじきにおさまった。
先生のぬくもりは今も忘れていない。